学科/専攻概要

航空宇宙工学とはFIELD

低軌道(Low Earth Orbit)から望む地球

私たちの目指す航空宇宙工学の理念

"東京大学百年史(昭和62年刊 東京大学出版会)"は、部局史三の工学部第七節で航空学科の沿革に触れ、その冒頭で"航空学科の歴史は、航空機の歴史、あるいは第一次世界大戦、第二次世界大戦を経た日本の歴史と共にしているといえよう"と記しています。

空を自由に飛べる夢に始まり、初動力飛行を行ったライト兄弟の百年記念祭を迎えた現代人にとって、航空機とは、高速かつ安全な大量輸送手段として人々の生活圏を拡大するとともに、地域を越えた人と物の交流を促進し、世界人類の相互理解と共存に役立っている科学技術文明の象徴だと言えます。

その一方で、近年頻発する戦争や紛争を見るまでもなく、ハイテクの象徴である航空機が、人々の生活や生命を破壊する手段として使われている現実も、この瞬間に存在しています。人類の英知が、軍事技術へ転換され得ることを認識し、科学技術への盲目的な信奉に対して自らを戒めることを、欠かすことはできません。

このような認識に立ち、私たちが考える"航空宇宙工学"の理念、すなわち、本専攻が教育と研究をはじめとする様々な活動を通じて果たすべき役割として、次の3点を掲げます。

①未開拓技術の宝庫であり、産業として大きな発展の可能性を持つ航空宇宙工学

技術・利用面で未成熟であり、将来発展の可能性が極めて大きい航空宇宙という世界のもつ顕在的・潜在的意義、可能性を追求し、人類の幸福のためにそれらを積極的に活用していくための研究教育を行なうこと。

②他分野へスピンオフできる先端的技術を創成する航空宇宙工学

極限的な性能や先端性が要求される航空宇宙という分野を対象にした研究教育を行なうことにより、他分野にも応用できる先端的技術と知識、および新しい工学の創成を目指すこと。

③システム統合化技術の象徴としての航空宇宙工学

航空宇宙の世界では、多分野の工学および理学を統合し、一つの目的を達成するシステムとして組み上げていく技術が特に強く要求されている。その特質を活かし、航空宇宙のミッションを題材として、システムインテグレーション、マネジメントの研究教育を行なうこと。

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