航空宇宙
推進学コース
機器制御、構造材料、
推進機関(エンジン)を学ぶ
航空宇宙推進学コースとは
航空宇宙推進学コースでは、航空機、宇宙機用の動力・推進システムを対象とし、その設計、解析、分析、開発、利用に関する統合的教育研究を行っています。教育研究を形成する学問分野は、熱流体力学、電磁気学をはじめとして、内部流体力学、構造力学、機械力学、燃焼工学、反応力学、伝熱工学、制御工学等の基礎に重点を置くものから、推進工学、機器工学、統計工学、計算機工学、開発工学、信頼性工学、宇宙環境利用工学等の開発志向のものまで多岐にわたります。
- 熱流体力学
- 航空宇宙の推進機関は殆どの場合流体を噴射や膨張させるることで推進力を発生するので、流体の挙動を扱う流体力学や流体にエネルギーを加えるための熱力学は是非理解して欲しい分野です。システムと共通する空気力学に加え、伝熱工学、反応速度論、内部流体力学、エネルギー変換工学などの学問領域が含まれます。基礎的な物理化学過程を理解するとともに、推進機関の性能との関係を総合的に学習します。
- 電磁気学
- 宇宙探査機が深宇宙を探査するための高比推力電気推進ロケットや、将来のレーザー推進機の研究開発の基礎となる電磁気学や放電・プラズマ工学、電磁波工学などの基礎学問を総合的に学習し、電気エネルギーを効率よく推進力に変換する技術へと発展的に学びます。
- 推進工学
- 航空宇宙機が大気中や真空中を飛行するために必要な推進システムについて、性能要求やその構造、設計法を具体的に学びます。主としてレシプロエンジン、ジェットエンジン、ロケットエンジンを対象とし、熱流体力学、構造材料力学、機械振動学、燃焼工学、プラズマ工学などを基礎とし、そこで学んだ知識を推進システム設計へと統合していく力を養います。
専門カリキュラム
- 宇宙推進工学
- ロケットエンジン
- 高速内燃機関
- 航空機力学
- エアブリージングエンジン
ジェットエンジン、ロケットエンジン、電気推進を始めとする航空宇宙推進系に係わる問題解決のため、流体力学、燃焼工学、熱力学、振動力学、機構力学、伝熱工学、電磁気学などの基礎および応用を身につけます。
その上でこれらの知識を駆使し、システムの具現化に関して広範な視野から学習します。
航空宇宙推進学コース
時間割例[ 3年Aセメスター ]
PICK UP
- 01ガスタービン第一・第二
- 旅客機や超音速機のジェットエンジン、液体ロケットエンジンのターボポンプ、脱炭素社会を支える核心技術であるガスタービンを扱います。圧縮機、燃焼器、タービンなどの構成要素とその要素性能、システムとしての性能、要素の空力設計について学んだ上で、航空宇宙工学科で学ぶ流体、燃焼、伝熱、材料、振動力学などの講義がガスタービンの中でどう生かされるのかを理解します。
- 02宇宙推進工学第一
- 宇宙探査機や人工衛星等の宇宙機の推進システムについて講義を行う。前半はミッションデザインから、搭載すべき推進機、推進剤質量、タンクなどの設計方法を学び、同時にロケット分野で一般的に使われるヤード・ポンド単位系も学ぶ。後半はインジェクタ、再生冷却システム、ターボポンプ等の要素技術や、エンジンサイクル最適化について学び、その設計方法を習得することを目的とする。
- 03航空宇宙推進学製図
- 汎用の単気筒レシプロエンジンを対象として、熱力学に基づいた性能計算および構造材料力学に基づいた強度計算を行うことで主要諸元を決定し、エンジンの組み立て断面図およびシリンダブロックの部品図を描きます。本製図を通して、内燃機関、推進機関の設計・製図の基本を身につけ、卒業設計につなげていくことを目指します。
卒業論文[4月〜11月]
正解の用意されていない課題に
これまでの学習成果を総動員して取り組む。
4月上旬に開催される卒業論文ガイダンスにて、研究室の全体概要と研究テーマが説明され、さらに各研究室の見学が実施されたうえで、研究室への配属希望調査が行われます。基本的には希望調査結果に基づき、4月中旬には配属研究室が決定されます。
教員一覧(研究室)
卒業論文発表までのフロー
4月上旬 | ガイダンス&研究室ごとの全体説明 |
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希望研究室提出 | |
4月中旬 | 卒論生受入れ研究室決定 |
卒論テーマ選定 | |
11月末 | 12月 |
卒論提出・卒論発表 |
卒業設計[12月〜2月]
4年生の12月~2月にかけて、推進学計画及製図(通称、卒業設計)に取り組みます。レシプロエンジン、ジェットエンジン、もしくはロケットエンジンの計画立案・設計・製図を通して、座学で学んだ様々な知識を統合し、一つのシステムを作り上げる楽しさと難しさを体験します。教員に加えて、実務経験豊富なメーカーの方(レシプロエンジンは日産、ジェットエンジンはIHI、ロケットエンジンはMHI)に非常勤講師としてご指導頂きます。
レシプロエンジン[過去の設計例]
- 多様な燃料(水素など)が適用可能な自動車用エンジン
- 筒内直接噴射式ガソリンエンジン
- ドローンや軽飛行機等に搭載するエンジン
- レンジエクステンダー用ロータリーエンジン
- 可変圧縮比エンジン
ジェットエンジン[過去の設計例]
- 分散ファンを駆動するターボファンエンジン
- 低燃費低騒音をめざした超高バイパス比ギアドターボファンエンジン
- 超音速機用VTOLエンジン
- 回転デトネーション燃焼器付き低燃費ターボファンエンジン
- 液体水素を燃料とする小型超音速旅客機用ターボジェットエンジン
- 病院における分散型電源としてのマイクロセラミックガスタービン
ロケットエンジン[過去の設計例]
- 大推力液体水素液体酸素2段燃焼サイクルエンジン
- 再使用ロケット用メタン酸素エキスパンダーサイクル
- 宇宙往還機用リニアエアロスパイクエンジン
- 火星航行用原子力ロケット